村人達
シュゼット:
あんたも死者に
会ってきたって
言うのかい!?
キーツ:
まさか、
死者に会えるなど
質の悪い迷信だ。
シュゼット:
両親の写真を
もう一枚持っていた。
あたしは写真の顔を焼いた。
キーツ:
穏やかじゃないな…。
シュゼット:
あたしはね、自分がずっと
男の子だって思ってた。
シュゼット:
自分の名前も
エルヴェだと思ってたよ。
シュゼット:
だけど、嫌でも気づくだろ?
あたしは男じゃなかった。
シュゼット:
あの母親は、あたしを
殴るときだけ
シュゼットって呼んだのさ。
シュゼット:
それで悟った…
…本当の名をね。
キーツ:
……。
キーツ:
どうも。
レスター先生でしたね?
レスター医師:
療養所は昔に閉めた。
もう医者ではない。
キーツ:
崖で…死んだ女性について
調べていましてね。
どうも殺されたらしい。
レスター医師:
……!?
キーツ:
心当たりはありませんか?
レスター医師:
村人とは関わりがない。
私は何も知らない。
レスター医師:
村人とは交流もなくてね。
私は何も知らない。
キーツ:
そう、気難しい顔をしないでくれ。
キーツ:
俺は余所者だが、警察じゃない。
しがない三流雑誌の記者さ。
キーツ:村への公道は
大分前から土砂崩れらしいな。
キーツ:
仕事柄…俺は山道の存在を
知ることができたから
来られたが普通なら無理だ。
レスター医師:
何が言いたい?
キーツ:
来てる人々は
普通じゃないってことさ。
キーツ:
何らかの強い目的がないと
こんな村には来ない…
レスター医師:
部外者にかぎ回られても
不愉快なだけだ。去ってくれ。
レスター夫人:
崖の女性が
殺された事件の調査を…?
ああ、怖い…
キーツ:
ええ、そのつもりで。
キーツ:
幸いにも死者に会える村なので
捜査はしやすいですよ。
レスター夫人:
まあ、ご冗談を…。
それで手がかりは…?
キーツ:
あのエレンという娘の
母親なのだそうだ。
レスター夫人:
エレン…?
船で来られたとのこと、
驚きましたわ…
キーツ:
ありえない無鉄砲さだ。
レスター夫人:
結局…それもお母さんに
会うためでしたのね…
キーツ:
エレンは船で来た…
それは山道を知らなかったからか。
レスター夫人:
そうでしょうね、
公道が塞がれていますので
それしか…。
レスター夫人:
山道は村の一部の人間しか
知らないですからね。
キーツ:
あるいは俺のような
詳細な資料が手に入る人間だ。
キーツ:
つまり、崖で死んだ女性は
山道から来ている…
キーツ:
すなわち、
過去に村にいた人間で
あるはずなんだ。
レスター夫人:
確かに…そうですね…
レスター夫人:
あの…あまり夫には
話しかけないでほしいんです。
レスター夫人:
特に年を重ねてから
ひどく神経質になっていて…
キーツ:
まあ、気をつけるさ。
レスター夫人:
陶器人形…?
レスター夫人:
何か覚えている
ような気がします。
レスター夫人:
どこかの家には
あったかと思うのですが…
でも、どうして?
キーツ:
いえ…異界での旅の道を
それが塞いでましてね。
キーツ:
ま、でも、問題なく
解決できるでしょう。
レスター夫人:
えっ??
レスター夫人:
あなたは面白い方ね。
キーツ:
…それはどうも。
レスター夫人:
捜査していると思えば、
異界のことを話し出すし、
レスター夫人:
理路整然としてるかと思えば、
飛躍したことを話す。
Written by Mysta
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